2014年
N国(偽名)に観測史上最大の
大地震が起こった。




N国は、地質学的に
最も地震が起きにくい 国として
有名であるのに起こった
この大震災は、後々まで学者を
悩ませる事になる。




そして、震災直後、他国からの
救助支援者たちが駆けつけた際、彼らは
凄惨で、不可思議な光景を目にした。




地震から難を逃れた人間が
誰一人として居なかったのだ。




瓦礫を除け、倒れた家屋を片付けても



どんな潰れた建物の中などを探しても



N国には、生きた人間はどこにも居なかった。




更に世界の各国で、この地震と同時に不可解な
出来事が起こっていたことが発覚する。




各国に旅行や移住していた、N国の人間が、
全て地震が起きた時間帯に、脳梗塞を起こし
死んでいたことが明らかになったのだった。




各国の政治の上層部は直ちに、
この不可思議な現象について調査を
開始する。




N国は、ウィルス兵器を極秘に開発し
他国に攻め入る準備をしているという情報
もあり、その兵器がN国内で誤爆した等の
可能性を考えての事だった。




しかし、国の建物という建物は全て壊れ、
生きのびた者もおらず、なにより、N国外にいる
N国民すら 死に絶えていることにより、
ウイルス性の兵器などでは
説明のつかない事も多く、捜査は遅々として
進まないまま、時は経ち、この大惨事は
多くの謎を残しながらも人々の記憶から
薄らいで行った。

そして30年後。

2044年7月24日―――…

日本のとある地方にある、××県王牟田(おうむた)市。

以前は石炭資源を背景とした石炭化学工業で栄えたものの、
エネルギー革命によって、大きく衰退した歴史を持つ小さな
市だった。

しかし、一人の鬼才と、二人の協力者によって奇跡の再興を
果たした奇跡の都市でもある。

王牟田に住む、一人の女子高生 里羽 咲は、1学期の終業式
のHR中に居眠りをした時、不思議な夢を見る。


見知らぬ少年たちがそれぞれ、自分たちに与えら
れた休暇を楽しむために、それぞれの行きたい場所に
行くという予定を話し合うという妙な夢だった。



目を覚ましたあと、咲は親友の松笠真緒と共に、街に繰り出すが
どこに行くか決める際、親友が出した選択肢は、先程夢の中で
少年たちがそれぞれ行こうと言っていた場所だった。

咲は、ほんの少しの好奇心で、会ってみたいと思った相手が
行くと夢の中で告げていた場所を選択する。

その選択肢が、どれだけ彼女にとって重大な意味を
持つようになるかも知らずに…